ボーソー油脂株式会社 様 MVV策定編

ミッション・ビジョン・バリュー

策定インタビュー

【写真】代表取締役社長 金子 俊之 氏


策定


背景・課題

・2020年3月期まで3年連続の赤字により社員退職が相次ぎ、組織が混乱していた。

・6社あるグループ全体での一体感が欠如し、統一感ある運営が課題だった。

・設備・仕組み・人員の健全化を目指し、組織再建を進める必要があった。

・課題解決のため、ミッション・ビジョン・バリュー策定が有効と考えた。

・社員に笑顔が増え、互いに理解し合える職場環境が生まれつつある。

・事業の共通意識を再確認し、安心感と自信の向上につながりつつある。

・策定したミッション・ビジョン・バリューがグループ全体で高い関心を集め、組織の一体感と共通理解を深める結果をもたらしつつある。


会社紹介

ボーソー油脂は、創業77年の米油の会社です。私たちが扱う米油(こめあぶら)は、玄米を白米に精米する際に出る『米糠(こめぬか)』から作られます。製造過程では、脱脂糠や脂肪酸をはじめとするさまざまな副産物が生まれます。私たちはこれらを活かし、石鹸類や化粧品原料、さらには工業用原料として、幅広く世の中に供給しています。

なぜミッション・ビジョン・バリューを策定することになったのか?

ボーソー油脂は2020年9月に昭和産業グループの一員となりました。その際、私は昭和産業の技術責任者として、ボーソー油脂の技術的な課題を判断する役割を担っていました。ボーソー油脂グループは現在6社で構成されており、ボーソー油脂単体では約130名、グループ全体では約250名の社員がいます。

2022年、私自身がボーソー油脂グループの一員となりました。そこで感じたのは、各社が連携して事業が成り立っているものの、グループ全体としての一体感が乏しいということです。

その課題を解決するための方法を模索していた中で、以前から面識のあった奥田さんとさまざまな話をして、「ミッション・ビジョン・バリューを策定するのは面白いかもしれない」と思い始めました。

Singerlyとの出会い

奥田さんとは、私が昭和産業の役員を務めていた2017年に初めてお会いしました。その後、さまざまな意見交換を重ね、2019年3月には昭和産業の技術部門のメンバーを対象に、IoTやAIの専門家を招いたセミナーを開催していただきました。このセミナーの開催が、具体的なご縁の始まりだったと思います。

その後、2022年に私がボーソー油脂に加わった翌年の8月、再び奥田さんが訪ねてきてくださいました。それがSingerly株式会社のCEOとしての奥田さんとの出会いです。

策定前の会社の課題は?

先ほどお話ししたように、組織の一体感の欠如が大きな課題のひとつでした。

2020年9月に昭和産業グループに加入する直前、ボーソー油脂は3年連続の赤字という暗い時代に直面していました。その間に多くの社員が退職するなど、組織としても荒れた状態にあったのです。

2022年に私が加わった際、まず掲げた目標は「設備、仕組み、人員の3つの健全化を目指しましょう」というものでした。そして、グループ全体を含めた組織を一体化する。これが当時の課題でした。

 

策定中の思い出

ミッション・ビジョン・バリュー策定の取り組みを進めるにあたり、ボーソー油脂の部長クラスの方々がどれだけ奥田さんのノリに乗ってきてくれるかは不安に思っていました。しかし、実際に始めてみると、意外なほど開放的な姿勢や積極的な意見が見られました。

策定には苦労もありましたが、メンバーたちの新たな一面に触れることができたのは、大きな感動を覚える瞬間でもありました。

策定後の変化

大きく変わったと感じるのは、社員たちの表情です。以前は、社内ですれ違った際に少し強張った表情が見られましたが、今では笑顔を見せてくれることが多いです。その笑顔だけで、どこかわかり合えるような、そんな気がしています。

また、今回の策定メンバーはボーソー油脂の社員のみで構成されており、グループ全体を網羅できるかという懸念がありました。しかし、策定を進める中で、メンバー全員が共通の意識を持っていることに気づきました。それが『米糠』です。私たちは米糠を軸に事業を展開する会社であるという認識が根底にあったのです。これは私にとって大きな安心と自信につながりました。

さらに、策定したミッション・ビジョン・バリューを披露した際には、 想像以上にグループ会社の方々から興味を持っていただけました。これも大きな収穫でした。

ボーソー油脂株式会社のミッション・ビジョン・バリューについて

ミッション:糠る

ミッションについて議論を重ねる中で、『米糠(こめぬか)』というキーワードがたびたび登場し、『糠が自分たちのベースである』という意識が、自然と深く根付いていることを実感しました。

ミッションを検討する過程では、『私たちは何をする会社なのか』ということを徹底的に議論しました。考え抜いた結果、米糠の徹底活用を目指す私たちの行動の表現が、最後には『糠る』という言葉に集約されました。

この『糠る』には、“一生懸命”、“真剣”、“とことんやる”という意味を込めています。米糠の可能性を最大限に引き出すために、全力を尽くす。これを私たちは『糠る』という言葉で表現しました。

ビジョン:糠 歓び

この言葉は、“つかの間の喜び”といった意味合いの『ぬか喜び』を連想するかもしれません。しかし、私たちの掲げる『糠 歓び』は全く意味が違います。読む時には、『糠』と『歓び』の間に少し間を置いてください。

私たちの『糠 歓び』には、米糠から生み出される製品やサービスを通して、私たち自身はもちろん、家庭や社会、自然環境に『歓び』を届けたいという強い想いが込められています。

議論の中で、『米糠』が私たちの事業の核にあると再確認しました。そして、その上で何をするのかと考えた時に、やはり『歓び』を生み出すことに行き着きました。米糠を有効活用し、世の中に『歓び』をもたらすこと。それが米糠を生業とする私たちの『歓び』にもつながる。こうして米糠を通じて、私たち、お客さま、世間(社会・経済)、自然環境の四方良しな社会を作りたいと思っています。

ビジョン:糠 歓び

中心に描かれているのは、米糠の山です。これは、実物の脱脂糠を絵の具に混ぜ込んで描いたものです。そして、左側には大きく稲を描いています。米糠は稲から玄米を精米して白米にする過程で発生します。

米糠の周りにあるのは油の滴(しずく)です。これは、私たちが米糠を原料に食用油を製造し、皆さまに提供していることを表現しています。また、油を搾った後に残る脱脂糠は、配合飼料や肥料の原料として活用され、農畜産資源循環の一端を担っています。こうした米糠を中心とした資源循環型事業活動が、私たちの使命そのものです。

背景は田畑で、自然環境を表しています。手前に描いたのは、私たちボーソー油脂グループの社員であり、お客さまであり、社会の皆さまです。私たちは事業を通して、米糠と生み出される製品、社会や自然環境、そして社員自身も、太陽に照らされて輝いているような世の中を作っていきたいです。

この絵は、私たちの想いが込もった非常に貴重な絵になりました。この絵を大切にしながら、ボーソー油脂グループ一同、結束したいと思っています。

バリュー:RICE Spirits

バリューについては、私たちの譲れない価値観を表現するために、言葉や表現を丁寧に検討していきました。その結果、お米の『RICE』と魂の頭文字『S』の並びとなる5つのバリューに集約されました。

・糠にぞっこん(Rice Bran Oil)

米糠は私たちのすべての仕事の起点であり、社員全員が米糠や米油に惚れ込んでいます。だからこそ、米糠を徹底的に使い倒したい。そのような想いを込めて『糠にぞっこん』というバリューを掲げました。

・米チャレンジ(Innovation)

『米チャレンジ(まいちゃれんじ)』は、新しいことに挑戦して、成長することを諦めない姿勢を表しています。お米の一粒一粒がもたらす恵みである米糠を一人一人の努力(マイチャレンジ)を結集して社会に役立てよう、ボーソーらしい挑戦をしていこう、という想いが込められています。

・米糠職人(Culture)

私たちは米糠に精通し、信念を貫き何事もやり遂げてきました。そんな長年の経験から築き上げられた私たちの職人文化を、これからも大切にしていきたいという想いを『米糠職人』という言葉に込めました。

・命根の恵み(Ecology)

『命根』は命の根とかいて『いね』と読みます。これは稲、すなわちお米が日本人の生命を支えてきた根源であることを象徴する言葉です。

これはエコロジーにつながる言葉で、資源を無駄なく大切に使い切ろう、環境に配慮した行動をしよう、という想いを表現しています。

・BOSO魂(Spirits)

『BOSO魂』はまさに私たちのスピリットを象徴するものです。ボーソー油脂グループならではの情熱と発想で、米糠を徹底的に活用していく。私たちにしかできないオンリーワンの取り組みをしていく。そんな、私たちの精神の神髄が『BOSO魂』という言葉に込められています。

コンセプト:「一糠二油sunshine」

コンセプトは「一糠二油sunshine(いちぬか に あぶら さんしゃいん)」です。この言葉には、米糠に始まり、米油をはじめとする製品・商品を通じて、私たち自身、そして世の中を輝かせていく−−−そんな輝く夢を持とうという強い思いが込められています。縁起の良い『一富士、二鷹、三茄子』にあやかり、ボーソー油脂グループを支える3つの柱「米糠」、「米油」、そして「社員」を掲げました。

私たちの製品や商品を通して、お客様が笑顔で輝く。そして、仕事がうまくいった時に社員やパートナー様が笑顔で輝く。そのような夢を持ち続けることが、私たちの理念です。 

一番気に入っている言葉は?

“ボーソー油脂グループの根幹は米糠にある”、ミッション・ビジョン・バリューには、それを象徴する言葉や表現が数多くありますが、特にお気に入りの言葉を3つ挙げるとすれば、一つ目は『一糠二油sunshine』です。この言葉には、欲張りなほどたくさんの想いが込められています。

2つ目は『糠る』です。短い一言ながら、私たちの強い意志を凝縮した表現であり、社員全員の姿勢を象徴しています。

3つ目は『糠にぞっこん』です。ボーソー油脂の根幹である『米糠』、そしてそこから生まれる米油に対する社員全員の深い愛情を端的に表した言葉です。

これらの言葉は、私たちの精神や価値観を余すところなく伝えてくれる、大切な言葉だと思っています。

未来のスタッフの皆さんへ一言

最初から私たちと同じ思いを持っている必要はありません。たまたま私たちの仲間になることになった方でも、働く中で『ここは面白いな』と思っていただけることが大切だと考えています。実際、途中から価値感に共感して長く続けてくださっている方も多くいらっしゃいます。

私たちが大切にしているミッション・ビジョン・バリューは、そうした『面白さ』や『価値』を感じてもらうためのツールのひとつです。これに興味を持っていただき、仕事を共にする中で、それぞれが自分なりの価値を見つけられる場所でありたいと思っています。

ですから、『同じ思いを持つ人だけを求めている』わけではありません。まずは興味を持っていただき、一緒に働きながらお互いを理解し合い、価値を共有できる仲間として長く共に歩んでいけることを願っています。

ミッション・ビジョン・バリューが必要だと感じる瞬間

グループ会社同士のつながりや一体感を感じる場面で、ミッション・ビジョン・バリューがさらに浸透すれば、より強い結束が生まれるのではないかと感じます。グループ全体の拠り所として、ミッション・ビジョン・バリューが必要だと感じます。

Singerlyのミッション・ビジョン・バリューの魅力

理屈を重ねた結果ではなく、メンバーの五感を刺激し、にじみ出てくる言葉を巧みにアレンジして形にしていくプロセスにあります。その結果、「これだ!」と心から納得できるミッション・ビジョン・バリューが生まれます。これがSingerlyのミッション・ビジョン・バリュー策定の大きな魅力です。

ミッション・ビジョン・バリューがない組織について 

正直なところ、私たちもミッション・ビジョン・バリューを策定したばかりで、活用し始めた段階です。このMVVを上手く活用することで、会社をより良い方向へ導き、さらに社会全体を良くしていきたいと考えています。

そう考えると、多くの組織もまたミッション・ビジョン・バリューに近いものを必要だと感じているのではないでしょうか。従業員一人ひとりの言葉や想いを紡ぎ出し、それを形にしていくことが大切です。そうして生まれたミッション・ビジョン・バリューは、組織を成長させるだけではなく、社会をより良くするための強力な道具になると期待しています。


ボーソー油脂株式会社 様 MVV策定編
ミッション・ビジョン・バリュー

New Posts

新着記事