株式会社コイケ 様 MVV策定編

ミッション・ビジョン・バリュー

策定インタビュー

【写真】代表取締役社長 小池 創 氏


策定


背景・課題

・コンセプトやスローガンがなく、組織としての一貫性や方向性に違和感を覚えていた。

・組織のアイデンティティが定義されないままの状態が続いていた。

・複数の事業を展開していることから、「何の会社なのか」を明確に答えることができなかった。

・経営判断において、策定したミッションを判断基準とすることで迷いがなくなり、迅速かつ一貫性のある意思決定が可能となった。

・ビジョンに向かうための価値観を共通言語として定めたことで、組織全体で一体感を持って取り組むための基盤ができた。

・メンバーと共に策定したことで、お互いの考えや価値観を共有し、理解を深めることができた。


会社紹介

国際物流における梱包やバンニング(輸出する貨物を倉庫などからコンテナに積み込むこと)などの国際物流の一貫輸送から、海外貿易事業や包装資材の販売事業を展開している会社です。今年で設立75周年を迎えます。

私自身は新卒から当社に入社し、さまざまな業務を一通り経験してきました。2020年に先代が病に倒れ、マネジメント交代という形で代表を引き継ぎ、4年目になります(2024年11月時点)。

なぜミッション・ビジョン・バリュー
を策定することになったのか?

 “強いチームには必ずコンセプトやスローガンがある”と体育会系で活動していた経験から、実体験としてそのように感じていました。しかし、当社にはコンセプトやスローガンがなく、違和感を覚えていました。「会社の理念を作りましょう」と先代の社長には幾度となく提案したのですが、その希望が通ることはありませんでした。

社長就任後、自分一人でミッション・ビジョン・バリューを策定しました。しかし、一人で策定したことが要因となり、組織になかなか浸透しませんでした。悩んだ結果、今度はメンバーと一緒にさまざまな価値観を混ぜ込んだ、自分たちらしいミッション・ビジョン・バリューを作ろうと思い、策定を決意しました。

Singerlyとの出会い

エックス(旧Twitter)上で奥田さんの部下からダイレクトメールを受け取ったことがきっかけです。当時は社長就任直後であったため、営業にまんまと引っかかる形で面談する流れとなりました。

策定前の会社の課題は?

「株式会社コイケはこういう会社です」と明確に答えられなかったことが課題でした。当社は複数の事業を展開しています。そのため「何の会社なのか」を尋ねられた時に、担当業務によって社員の回答はバラバラで、一言で言い切ることができませんでした。

つまり、社内で“自分たちのアイデンティティが何なのか”が定義されていなかったのです。これが1番の大きな課題だったと思います。 

策定中の思い出

苦労したポイントは、策定メンバーの思いやエピソードを社内に浸透する言葉に落とし込まなければいけなかった点です。普段、言語化してこなかった領域を、キャッチーかつ自分たちが使っていける言葉に落とし込むのは、非常に苦労しました。

感動したポイントは、後ろ向きで懐疑的な姿勢から始まった第一回目のセッションからのメンバーたちの変化です。最初は「このまま進んで大丈夫なのかな」と何度も不安になるほどメンバーたちは後ろ向きな姿勢でした。しかし、回を重ねていくごとに、だんだんとメンバーの姿勢が前向きになっていったんです。最終的には自分たちらしいミッション・ビジョン・バリューを策定することができました。私自身、メンバー発表の際には歓喜余って泣いてしまったほどです。本当に思い入れの深いミッション・ビジョン・バリューになりました。

その他にも、会社の歴史を振り返る中で、先代や先先代のやってきたことや想いが、今なお会社の中に生きているのではないかと思えたことに感動しました。自分たちがやろうとしていることは、歴代の社長がやってきたことと共通している。それは不思議な感覚でしたね。

策定後の変化

スタート地点の核となる言葉をメンバーと一緒に考えたので、共通言語ができたと感じています。お互いの考えや価値観を相互に理解できたことも良かったポイントです。策定メンバーに関しては、すでに私と同じ理解度だと思っているので、そこからスタートできるのは大きいと思います。

株式会社コイケのミッション・ビジョン・バリューについて

ミッション:護り、届けて、ひらくWoW!

ミッションは「護り、届けて、ひらくWoW!」です。ヒト・モノ・コトの価値を護り、届けて、感動を創造するという意味があります。

当社はもともと梱包資材の販売や物流における輸出梱包をしていました。私たちの祖業である梱包は、お客さまの商品を護り、物流でそれを届ける仕事です。その先には受け取った人の感動があります。

新たな価値と感動をひらく。その想いを込めて、このミッションを掲げました。

ビジョン:祭噴火する宝箱

ビジョンは「祭噴火する宝箱」です。再び熱気によって、お祭りのように吹き出す宝箱という意味が込められています。

この宝箱という言葉には、二つの意味があります。一つは、私たちが今やっている事業の一つである輸出梱包の『箱』。もう一つは、従業員や取引先のパートナー、今の事業や未来の事業、今までにない価値観などさまざまなものが詰まっている『宝箱』という意味があります。

その『宝箱』を熱量を持ったメンバーやパートナーが熱して、未来に向かって再び吹き上がっていく、再噴火するというイメージをビジョンに落とし込みました。

ビジョン:祭噴火する宝箱

中央に描かれているのが宝箱です。宝箱からは、AIやDXなどのデジタル化、ペーパーレス推進など今までにない価値観が噴き出す様子を描きました。下には、策定中に出てきた熱量を持った人々のキーワードである『着火マン』がいます。頭部を火で描くことで燃え上がっている人々を表現しています。また、感動を創造するという意味を込めて、さまざまな価値観を持ったメンバーがロゴやロケットを描きました。これにはワールドワイドに展開していくという今後の展望も表現しています。

バリュー:

気遣い合い

“思いやりの心で協調の愛を持つ”という意味があります。 私たちの仕事はチームプレーが大切です。お互いに気を遣い合わなければ、絶対に成り立ちません。

相手を受け入れながら気遣い合い、お節介なくらいに相手のことを考える。そして、相互に行動し合っていく。これが重要だと考えています。

知恵熱たれ

“貪欲に価値ある進化へ”という意味が込められています。 子供は成長していく段階で、熱を出しながら成長していきます。また、人は熟考して知恵熱を出しながら成長します。

私たちも社会に貢献したり、お客様に役に立ったりするために、さまざまなことを学び、進化していかなければならない。そんな想いをこのバリューに込めました。

喰らうが価値

“ベンチャー魂でトライをする”という意味を込めました。『喰らう』は、当社のキーワードです。その昔、当社では何かに挑戦したけれども上手くいかなかったり、厳しい環境でボロボロになりながらも何かを成し遂げたりする状態を『喰らう』と表現していました。

辛いことや嫌なことにも前向きにチャレンジして、結果がどうであれ一歩踏み出すことが大事です。そして、『喰らっている』状況の人が会社の価値を上げていく人間になります。そんな想いでこのバリューをつくりました。

Day1小粋プライド

“積み上げてきた歴史や伝統は、初心を忘れない心持から”という想いを込めました。当社は2024年で75周年を迎えました。今後100年を目指していく上では、この歴史に胡座をかくことなく、老舗になりつつあるプライドと創業者の精神を持ちながらも、1日目(Day1)の心を忘れずにチャレンジしていきたいと考えています。

共存恊栄

“伴走革新パートナー”という意味を込めました。当社が創業から拡大した背景には、卸売会社として仕入れ先を何よりも大事にしてきたことがあります。私たちは取引先も含めて“パートナー”と位置づけ、タッグを組んでやってきたことで、共に会社を大きくしてきたのです。

社会において一社単独で進むことや、社内においても個人が一人でやっていくことは困難です。社内であればメンバー同士で声をかけ合ったり、価値を高めていくことができます。会社同士もタッグを組んで、パートナーとしてさまざまなことにチャレンジしていくことができます。

そんなつながりを通じて、イノベーションを巻き起こしていきたい。これが「共存恊栄」に込めた想いです。

コンセプト:「ADD to VALUE」

「ADD to VALUE」とは、“価値を護り、高め、進化し続ける”という意味が込められています。

先代である私の父が、かつての「ADD to VALUE」をスローガンとして会社のパンフレットに使用していたことが策定のワーク中にわかりました。今となってはその意味合いを直接尋ねることは叶いませんが、自分たちなりに解釈していったところ、“ 昔の良いものを大切にしながらも、新しい事を取り入れ、挑戦することで変化に対応する”ということでした。

今後は新しい視点を取り入れるだけではなくて、補強し、さらに深め、最終的には私たちのミッションである『感動』に繋げていきたいと思います。そのような想いから「ADD to VALUE」というコンセプトにしました。

一番気に入っている言葉は?

二つあります。一つ目はミッションの「護り、届けて、ひらくWoW!」です。このミッションによって、ビジネスの方向性が定まりました。今まで“自分たちは何者なのか”がわからないままビジネスをしてきましたが、私たちはヒト・モノ・コトの価値を護ることが 使命なのだとわかったのです。

二つ目はバリューの「喰らうが価値」です。ワークをする中で、1番メンバーが共感した言葉でした。昔、当社の職場環境があまり良くない時期に『喰らっていた』メンバーがいたのですが、みんなその時のことを楽しそうに笑いながら話していました。私はそれが非常に印象的だったのです。『喰らう』は当社独自の文化だと思うので、これはしっかりと受け継いで、さらに強い組織をつくっていきたいなと思います。 

ミッション・ビジョン・バリューが必要だと感じる瞬間

判断の軸がない時に、ミッション・ビジョン・バリューが必要だと感じます。経営していく上では、判断をしなければならない時があります。今までは軸がなかったので判断に迷いました。

今後はどんな経営判断を求められた時にも、策定したミッションに基づいてジャッジをすることができるので、判断に迷いません。また、ビジョンに向かっていくために良しとされる価値観が、社内で共通言語になったので、これからはみんなでやっていくことができます。

Singerlyのミッション・ビジョン・バリューの魅力

Singerlyさんの策定ワークは、ファシリテーションが圧倒的です。自分たちだけであれば、絶対にならないような雰囲気で、すごく楽しかったです。回数を重ねるごとに、どんどん場の空気が温かくなっていくのを私もメンバーも感じていました。

また、議論が深まる中でなかなか言葉が出てこない時に、Singerlyさんは私たちとは違った角度から意見を出してくれました。そのため、平行線のまま議論が進まないことは一度もありませんでした。

ミッション・ビジョン・バリューがない組織について

会社の指針などで「自分たちは何者なのか」「自分たちはどこに行きたいのか」「どんな価値観を重視してこの先進んでいくのか」という部分が定まっていないと、組織づくりや採用が難しくなっていくと思います。

中小企業だからといって間口を広げすぎると、自分たちが目指す組織にはなかなか到達することができません。やっぱり船に乗る船員の資格や条件を自分たちで話し合って決めていくことは大事だと思います。また、理念という会社のコアな部分を見つめ直す機会は少ないので、ミッション・ビジョン・バリューの策定は組織にとって素晴らしい機会だと感じます。


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