光洋鋳造株式会社 様 MVV策定編

ミッション・ビジョン・バリュー

策定インタビュー

【写真】代表取締役社長 白江 肇英 氏


策定


背景・課題

・時代の変化に対応し、鋳造業界をより良くするためのチャレンジの一環としてMVVを新たに策定しようと思った。

・社内のコミュニケーションにおいて、個人の価値観が衝突し、上層部の意見が強くなりがちだと感じていた。

・会社全体で一丸となって取り組むために、ミッション・ビジョン・バリューが必要だった。

・強みである「短納期」を基に「納期からの解放」というミッションが策定され、経営の方向性がより明確になった。

・日常的に使いやすいフレーズを一緒に考案したことで、社内への定着が期待できる。


会社紹介

我が社は1955年に創業し、今年で69年目を迎える鋳造会社です。創業当初は東大阪で事業を展開していましたが、現在は三重県に拠点を移し、多品種少量生産を短納期で提供しています。当社の特徴は、フルモールド鋳造法を活用し、発泡模型から鋳物素材、さらには機械加工まで一貫して短期間で対応できる点にあります。30年以上にわたり、技術力の向上と生産システムの見直しを続け、お客様の多様なニーズに迅速かつ高品質で応えることを目指しています。

なぜミッション・ビジョン・バリュー
を策定することになったのか?

時代の変化に対応しながら、鋳造業界をさらに発展させるための挑戦の一環として、私たちは新たにMVVを策定することを決断しました。

Singerlyとの出会い

ある日、私の机に巻物が届き、「けったい(変)な会社やな」と興味を惹かれ、面談させていただくことになりました。

策定中の気づき

これまで弊社は、私一人で策定したビジョン・ミッション・バリュー(VMV)を使用していました。しかし、今回は常務に加え、主要な部長やリーダーとも協力し、4人で話し合いながら策定しました。今までお互いがどのような考えや感情を持っているのかを知る機会がほとんどなかったため、策定の中で多くの発見があり、「面白いなぁ」と興味深く感じました。

光洋鋳造株式会社のミッション・ビジョン・バリューについて

ミッション:納期からの解放

ミッションは「納期からの解放」です。当社の強みである短納期を、さらにインパクトのある言葉で表現しました。近年、お客様は開発期間が短縮され、製品の熟成に十分な時間を確保できない状況が増えています。そこで、当社の鋳造プロセスをより迅速化し、お客様の開発や安全面を第一にすることで、お客様や調達担当者を納期のプレッシャーから解放することをミッションに掲げました。

ビジョン:未来忍者

ビジョンは「未来忍者」です。弊社は三重県の伊賀市に拠点を置いており、伊賀市は服部半蔵で知られる忍者ゆかりの地です。この地域性を踏まえて、忍者のように情報を巧みに扱い、IoTやDXを積極的に導入することで、「未来忍者」を目指したいと思います。

ビジョン:未来忍者

バリュー:

逸品モノ

当社では毎月700〜1000点ほどの単品製品を手掛けていますが、それらは大量生産のような作りではなく、一つひとつが良質な製品であることを重視しています。そのような姿勢を「逸品モノ」という言葉で表し、1番目のバリューに掲げました。

順番いのち

情報の伝達は、私からリーダー、リーダーからサブリーダー、サブリーダーから一般従業員へという順番で行うことを徹底するために、このバリューを掲げました。これまでは順番を飛ばして情報が伝わってしまうこともありましたが、これからは、情報は常に上から下、下から上へと順番通りに伝える仕組みに改めます。また、情報の伝達だけではなく、ものづくりにおいても作業手順や生産の順番が重要です。これらの2つの意味を込めて「順番いのち」をバリューに掲げました。

俺の話を聞け♪

これまで、社内における一方通行のコミュニケーションが課題でした。部下から上司に話をする時も、まずは最後までしっかりと聞く。そうすることで、上司も部下も互いに成長できると考え、「俺の話を聞け♪」をバリューに設定しました。

正義の桜

ものづくりにおいては「品質」と「コンプライアンス」が重要です。たとえ誰も見ていなくても、不正を行わず、誠実であること。桜はそのような精神美の象徴です。弊社には立派な桜が咲いています。その桜のように堂々と胸を張って製品を届けられる姿勢を大切にしたいと考え、「正義の桜」をバリューに選びました。

やればできるの術

少量生産のものづくりにおいては、気合いで乗り切らなければならない場面も多々あります。難しい注文が来たとき、「これはできないんじゃなかろうか」という声が上がることもありますが、「いや、できる方法を考えよう。我々には『やればできるの術』があるじゃないか」と、前向きな姿勢で挑んでいきたいと思います。そのような精神を「やればできるの術」というバリューによって、社内に広めていきたいと考えています。

コンセプト:「Top of IImono」

鋳物を良い物にする、「Top of IImono」。業界ナンバーワンを目指して、良いものをお客さんに届けていきたいという思いから、このコンセプトに決めました。

一番気に入っている言葉は?

どれも良いと思っているのですが、やはり「未来忍者」という表現が特に気に入っています。言葉としてのインパクトが強いのはもちろん、“忍び”のように影に徹する部分が、我々製造業と重なります。製造業は人目に出ることが非常に稀な業界ですが、日本のインフラを支える重要な役割を果たしています。そんな「影となり、支える存在」を象徴しながら、未来を見据える「未来忍者」という言葉を、これから皆で上手く活用できればと願っています。

ミッション・ビジョン・バリューが必要だと感じる瞬間

社内のコミュニケーションで、どうしても個人の価値観が衝突することがあります。その際、やはり上層部の意見が強くなりがちです。しかし、これからの時代は会社全体が一丸となって戦っていかなければなりません。そういった点で、ミッション・ビジョン・バリューが役立つと思います。

Singerlyのミッション・ビジョン・バリューの魅力

今回、一緒に手伝っていただいて感じたのは、まず従業員の話をしっかりと聞いてくれることです。それをベースに従業員が求めるバリューを導き出しながら、なおかつ経営にとって重要な要素に繋げてくれました。「納期からの解放」というミッションが生まれたのもその一例です。また、日常的に使いやすいフレーズを一緒に考えてくれたので、これは社内に定着するのではないかと期待しています。こうした点が、Singerlry流のMVV策定の大きな魅力だと思います。


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