ミッション・ビジョン・バリュー
策定インタビュー
代表取締役社長 水内 雄一氏
背景・課題
実施した背景や課題感
・遠方の店舗にいるバッティングセンター事業の社員のベクトルが合っていないと感じていた。
・「従業員を大切にしよう」「最適な商品を提案しよう」という企業理念だけでは、バッティングセンター事業の社員のベクトルを揃えるのは難しいと感じた。
・店長たちはそれぞれ素晴らしい想いを持っていたが、方向性やビジョンが少しずつズレていることが課題だった。
ミッション・ビジョン・バリュー策定の導入効果
・ミッション・ビジョン・バリューを策定する中で、バッティングセンターが野球業界に依存していた部分に気づき、その恩を返す意識が芽生えた。
・野球に本腰を入れる気持ちが強まり、初心者が野球を楽しめる施設にしていこうという話が社内で頻繁に出るようになった。
会社紹介
株式会社水内ゴムは、創業100年を超える、独自の配合技術と混練設備を持つゴムロール・ゴム部品メーカーです。1個から小ロット生産を得意とし、お客様の求める製品を受注・制作を行っています。年間14,000本を超える製造数と累計70万本の製品を送り出し、多種多様な製品を提供しています。また製造業とは別に日本最大級の店舗数を誇るバッティングセンターを運営しています。
Singerly株式会社との出会いは？
弊社の創業記念に突然、胡蝶蘭が送られてきました。得意先かと思って色々と調べたのですが、全くお付き合いのない会社からのお花でした。それがSingerlyさんとの出会いです。
それから、さまざまな話をしていく中で、Singerlyの橋本さんと一緒に仕事をしてみたいと気持ちになっていきました。それで、今回ミッション、ビジョン、バリューを策定することになりました。
Singerlyさんは本当に面白い会社だと思います。突飛な出会いでしたが、嫌なイメージは全くなく、良い意味で「変わった会社だ」というものでした。
なぜミッション・ビジョン・バリュー
を策定することになったのか？
弊社には「全従業員の安定した幸せな生活を追求すると共に、心を高め成長し、最適な商品を永続的に提案し、社会に貢献する。」という企業理念があります。ゴム製品製造事業では、社員たちと私が頻繁に接することもあり、向かうべきベクトルが合っていると感じていましたが、バッティングセンター運営事業の社員は店舗が遠方なこともあり、ベクトルが合っていないと感じていました。
そして、既存の「従業員を大切にしよう」「最適な商品を提案しよう」という企業理念だけでは、バッティングセンター事業の社員たちのベクトルを揃えるのは難しいのではないかとも思っていました。
そこで、今回のSingerlyさんとの出会いをきっかけとして、バッティングセンター事業用のミッション・ビジョン・バリューを策定し、社員たちのベクトルを揃えようと決意した次第です。
策定前の会社の課題は？
弊社には、たくさんの店長がいます。それぞれ素晴らしい想いを持って、従業員やお客様のために頑張ってくれていましたが、思い描く方向性やビジョンが少しずつズレてしまっていることが課題でした。もちろん、それらはどれも正解にはなり得るのですが、やはり少し違うなと感じる部分がありました。
策定中の思い出
1番苦労したことは、ミッションが決まるまでにすごく時間を要したことです。半年以上かかりました。後半は、週2回ほどweb会議を繰り返し、やっとのことで形にしました。
MVVを策定していく中で特に印象深かったのは、バッティングセンターがこれまで野球業界に依存していた部分があり、その恩を返さなければならないという大きな気づきがあったことでした。
また、野球を始める人が最初に買う道具はグローブですが、バッティングセンターで野球を始める人が最初に買う道具はバットであるという新しい発見も得られました。
株式会社水内ゴムのミッション・ビジョン・バリューについて
ミッション：野球人口を増やす
ミッションは「野球人口を増やす」です。野球の人口はここ20年で約半分にまで減少しました。これは単純に子供の人口が減少しただけではなく、“野球しかない”時代から、“野球もある”時代、つまり他のスポーツも選択肢にある時代へと変化したことで、野球の人気が低下したことも要因です。
これまでバッティングセンターは、野球少年たちが来る場所として成り立っていました。しかし、これからはそうではなくて我々のバッティングセンターに来たことをきっかけに野球を始める人が増えていく、そんな場所を目指したいと思います。
ビジョン：初めてのマイバット
ビジョンは「初めてのマイバット」です。一般的に野球を始める人はグローブを最初の野球道具として購入し、マイグローブと共に野球人生をスタートさせます。しかし、バッティングセンターをきっかけに野球を始める人は、バットを最初に購入し、マイバットと共に野球人生をスタートさせます。
我々のバッティングセンターを訪れることで、初めてのマイバットを手にして、野球を始める。そんなビジョンを世の中に増やしていきたいです。
ビジョン：初めてのマイバット
ビジョンイラストでは、バッティングセンターを出た親子が楽しげに話している様子を描きました。少年は初めてのマイバットを持っています。将来的には、弊社でもお客様のニーズに合わせたマイバットを販売したいと考えています。バッティングを楽しんだ後、店内でバットを購入する。そんなビジョンを実現したいです。
バリュー：
・ビギナー’s high
これは野球初心者が我々のバッティングセンターに来ることで、ランナーズハイのように楽しい気分になることを表現しています。私たちがいつも初心者の目線に立って考え、その視点を大切にしていけるように設定しました。
・技術で叶える
弊社はバッティングセンターも運営していますが、元々はゴムの製造業です。だからこそ、製造業で培った技術を活かして、今までなかったもの、あるいはないと諦めていたものを作りだそうということで、「技術で叶える」をバリューとして掲げました。
・自ら機会を作り出す
誰かに機会を与えてもらうのを待つのではなく、「やりたいな」「これはチャンスだな」と思った時には、自ら手を挙げてその機会を掴み取っていく。そういう姿勢を大切にしていきたいと思ったので、「自ら機会を作り出す」というバリューを設定しました。
・Wプレー
Wプレーの「W」は「V」を2つ重ねたもので、2つのピース、つまり笑顔で溢れる様子を表現しています。Wプレーを成功させるためには、スピード感と連携が必要です。笑顔・爆速・連携。これらを大切にしていこうという思いを込め、「Wプレー」を掲げました。
・完投勝利
これは成功するまで諦めずにやりきることを意味しています。新しい試みは、最初は失敗を繰り返します。でも、失敗したから駄目だと諦めるのではなく、失敗を次に生かし、最後は勝利を勝ち取るという姿勢が大事です。途中で諦めず、最後までやりきることを大切にしよう。そんな思いで、このバリューを設定しました。
コンセプト：「最高のバッセン」
最後に、ミッション・ビジョン・バリューを総括して「最高のバッセン」をコンセプトに掲げました。これは、野球人口が減少する中で、最高に楽しいバッティングセンターを目指し、再び野球業界とバッティングセンターに活気を取り戻そうという意気込みです。
一番気に入っている言葉は？
ミッションとして掲げた「野球人口を増やす」です。このミッションの策定によって、野球業界から今まで受けてきた恩を返していこう強い意思が明確になったので気に入っています。
未来のスタッフの皆さんへ一言
我々は、このミッション、ビジョン、バリュー、そしてコンセプトを大切にしていこうと思っております。ぜひこの想いに共感してくれるメンバーと一緒に働きたいです。
少し厳しい言い方かもしれませんが、共感できないのであれば弊社で働くべきではないかもしれません。なぜなら、価値観の合わない中で働くことは、お互いにしんどいからです。一方で、価値観の合う仲間と一緒に働けば、本当に楽しいです。
ぜひ、このミッション、ビジョン、バリュー、そしてコンセプトに共感してくれる方は一緒に働きましょう。
ミッション・ビジョン・バリュー策定後の変化
MVVを策定してアナウンスしたばかりなので、組織内にはまだ大きな変化は見られませんが、私自身は「野球にもっと本腰を入れていこう」という気持ちが非常に強くなりました。
今まで弊社はバッティングセンター業界の中では、比較的に野球に力を入れておらず、ライトな野球を提供している会社でした。しかし、最近ではライトな野球を提供する中でも、初心者が野球を楽しめるような施設にしていきたいという話が、社内でよく出るようになりました。
Singerlyのミッション・ビジョン・バリューの魅力
SingerlyさんのMVV策定の魅力は、遠回りをして、多くの時間をかけたとしても、寄り添って一緒に答えを見つけ出そうとしてくれる姿勢にあると思います。
ミッション・ビジョン・バリューが必要だと感じる瞬間
やはり方向性が揃っていない時や、価値観の共有ができていない時、あるいは、どれも正解になり得る時や、優先順位がはっきりしない時には、ミッション・ビジョン・バリューが必要だと感じます。
ミッション・ビジョン・バリューがない組織について
今は問題がなくても、今後社員が向かうべきベクトルの面で課題は必ず出てくると思います。
そういう意味では、やはりどこかのタイミングでミッション・ビジョン・バリューを策定した方が良いのではないかと思います。
